日本学術会議「幹事会だより No.93」について

 

 

 

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幹 事 会 だ よ り No.93
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                          平成25年6月11日発行

                             日本学術会議会長
                                 大西 隆

 

  今回は5月31日(金)に開催されました幹事会で、議事要旨が確認されましたことを受け、
4月23日(火)に開催されました第172回幹事会、及び、メール審議により開催されました
第173回幹事会の議事の概要を御報告いたします。

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  会長・副会長より
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〔 会長 大西隆 〕 
22期の活動も折り返し点を超えました。分野別委員会や分科会でも提言等のまとめに向けて審議
が佳境に入っていることと思います。横断的で、学術会議全体で取り組むテーマを扱う課題別
委員会、幹事会付置委員会、あるいは機能別委員会でも、震災復興、エネルギー利用の将来など
今期の初めから取り組んできたテーマに加えて、future earth等国際的な学術界の共通テーマ、
先日の公募に基づく新たなテーマに取り組んでいく予定です。
これらを通じて、学術会議の社会における役割を絶えず意識して責任を果たしていくことが、
2015年に向けての日本学術会議の見直しにおいて、国民の理解を得ていくことにつながると
思っています。ぜひ、22期後半においてもよろしくお願いします。
4月になって目立ったことは、残念ながら、会員からの学術会議事務に対する苦情が急に増えた
ことです。もちろん直接やり取りしているケースもあるでしょうから、会長や副会長に届くのは
氷山の一角かも知れません。寄せられた苦情のすべてについて事情を調べ、それぞれ対応して
きました。調べてみると不注意によるものが多いのですが、ミスに気が付いてからの処理が適切
ではなかったために不信感が募っているケースもあります。
職員の皆さんには会員・連携会員が気持ちよく審議などの活動ができるようにするという観点
から仕事に臨んでもらいたいと常にお願いしています。ミスとは直接関係ありませんが、4月に
新管理課長が着任した時も、「管理」ではなく「会員サービス」課長のつもりで仕事をして下さい
とお願いしました。国の機関とはいえ、他の部署とは異なる活動形態をとる日本学術会議がうまく
機能していくように、会員・連携会員と事務局との協調も重要な課題です。一層の改善に向けて、
もし苦情、ご要望があれば、どうぞ私に直接ご連絡ください。
個人的には、5月も海外出張の多い月でした。学術会議の参加イベントであるアジア学術会議が
成功裏に開催されたことは春日副会長の報告にあります。5月末には国連国際防災戦略(UNISDR)
が、2年に一度のグローバルプロットフォーム(GP)を開催しました。
2015年に国連防災世界会議が仙台で開催されることになったので、日本としては一層力が入る会議
でした。私は、科学技術と防災・減災という観点から関わっています。災害を引き起こす異常な自然
現象と人がどのように折り合っていけるのか、人類にとって永遠のテーマですが、可能な限り犠牲
を減らすために科学を磨き、応用することは重要です。特に、南北間の協力が求められるテーマと
感じました。


〔 組織運営・科学者間の連携担当副会長 小林良彰 〕 
今期の学術会議も折り返し点を過ぎて残り1年半を切り、今秋以降、次期会員及び連携会員の選考が
始まることになる。その際、20期以降の新生学術会議では会員・連携会員によるコ・オプテーション
で会員候補者及び連携会員候補者を推薦することになっているが、特に次の点に留意して頂きたいと
思います。
まず、地域バランスの確保で、平成24年8月現在の地域ブロック別における会員数を調べると、関東
ブロック124名に対して、中国・四国ブロック3名、北海道ブロック6名と著しい格差が生じております。
また、平成22年12月17日の閣議決定で「第3次男女共同参画基本計画」における平成27年の成果
目標が「日本学術会議の会員に占める女性の割合 22%」と定められており、女性会員の維持・増加
を遵守しなくてはなりません。さらに、この基本計画では、平成32年までに30%という目標を立てて
います。
さらに、現在の会員のうち、産業界から選出されている者は3名にとどまっており、大学や研究機関に
偏らず、大学勤務経験者も含めて、産業界や法曹界、公認会計士等からの会員及び連携会員も考慮する
必要があるのではないかと思います。
これらを含めて、業績がある、そして学術会議の活動に積極的な方が学術会議の将来を担って頂ける

ことを願っております。


〔 政府・社会・国民との関係担当副会長 家泰弘 〕
科学と社会委員会の重要な役割の一つは、重要かつ緊急性の高いテーマをピックアップして課題別
委員会の設置を検討することにあります。課題別委員会は設置期間1年を目安としてタイムリーに
結論を出すことを旨としており、同時進行する課題別委員会は10程度以内と定められています。この
3月まで科学と社会委員会を担当しておられた小林副会長の渾身のご努力により、それまで設置されて
いた課題別委員会の多くが、提言を発出するなどしてその目的を果たし設置期間の終了に漕ぎ着けた
ため、新たに課題別委員会をいくつか立ち上げる枠が生じました。これを受けて4月の総会において
会長から、審議すべきテーマの公募を行う旨アナウンスされ、5月7日の締切りまでに数件の提案が
寄せられています。現在、それらの提案について課題別審議検討分科会において設置の当否を検討
しているところです。
またこの間に、文部科学省からの審議依頼を受けて「国際リニアコライダー計画に関する検討委員会」
が設置されました。国際リニアコライダーに関して、日本誘致の動きが政財界で活発化している状況、
及び、その実施に必要とされる予算や人的資源の規模が学術全体に及ぼし得る影響に鑑み、学術の
観点からの検討を緊急に要請されたものです。現在、学術の大型研究計画検討分科会において「大型
計画マスタープラン2014」の策定作業が進行中ですが、その審議とも連携をとるとともに、広い分野
の会員・連携会員からのご意見を聴きつつ、可能な限り迅速に回答を取りまとめたいと考えております。


〔 国際活動担当副会長 春日文子 〕
5月以降の国際活動についてご紹介します。連休明けの7~9日、タイのバンコクで、第13回アジア
学術会議が開かれました。「Role of Science in Asia: Facing the Challenges of AEC2015」の
テーマで国際シンポジウムも開催されました。日本学術会議としては、この機会に近隣国との二ヶ国間
交流も進めました。29日には、大西会長より安倍総理に、Gサイエンス学術会議共同声明を手交しま
した。今年のテーマは「持続可能な開発の促進:科学・技術・イノベーションの役割」と「病原微生物
の薬剤耐性問題:人類への脅威」の2つ。感染症の専門家としてインドでの会議にもご出張いただいた
岩本愛吉連携会員にも、総理手交にご同席いただき、総理からのご質問に対応していただきました。
直後に横浜で開かれたTICAD Vでも、日本学術会議としてブース展示を行い、これら共同声明を紹介
しました。今年の共同声明にはアフリカから2人のアカデミー会長が署名しているためです。私も
1日ブースに立ちましたが、多くの国がブースを訪ねてきました。TICADに関連した行事ですが、
第2回野口英世賞の授賞式があり、HIV/エイズの研究と予防対策に尽力されたベルギー人とウガンダ人
二人の研究者が受賞されました。6月1日と4日に行われた授賞関連行事には、大西会長と春日が
それぞれ出席しました。アジアとの関係はこれまでどおり重要ですが、2月のIAP以降、新たに
アフリカの国々との交流も深まってきたと感じています。
先月号でご紹介したFuture Earthに関する学術フォーラムは、6月18日に決定しました。本フォーラム
そして今後のFuture Earthへの取組みについても、各分野の先生方や関係諸機関と協議を重ねていますが、
この協議の過程こそがFuture Earthの根幹と思い、大切にしたいと考えています。


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以下、第172回~第173回幹事会の概要となります。

◎第172回幹事会(平成25年4月23日(火)13:30~15:30)

1 前回議事要旨の確認を行いました。
2 前回の幹事会以降の諸報告事項について確認を行いました。
3 以下の公開審議を行いました。
(1) 東日本大震災復興支援委員会運営要綱の一部改正及び分科会委員(4分科会)を決定しました。
(2) 科学者委員会運営要綱の一部改正(新規設置1分科会)を決定しました。
○新規設置
・組織運営等検討分科会
(3) 分野別委員会運営要綱の一部改正(新規設置2分科会・1小委員会、廃止2分科会)
及び分科会等委員(4分科会、1小委員会)を決定しました。
○新規設置
・社会学委員会 社会学分野の参照基準検討分科会
・地域研究委員会 地域研究基盤整備分科会 地域研究における教育の「質保証」検討に関する小委員会 
・政治学委員会 政治学分野の参照基準検討分科会
○廃止
・心理学・教育学委員会 「21世紀の大学」分科会
・心理学・教育学委員会 高校教育改革検討分科会
(4) 移転検討委員会における委員を決定しました。
(5) 東日本大震災に係る学術調査検討委員会における委員を決定しました。
(6) 科学者に関する国際人権問題委員会における委員を決定しました。
(7) 日本学術会議改革検証委員会における分科会委員(学術会議改革自己点検分科会)を決定しま
した。
(8) 原子力利用の将来像についての検討委員会における分科会委員(原子力発電の将来検討分科会)
を決定しました。
(9) 大学教育の分野別質保証委員会における委員及び分科会委員(企画連絡分科会)を決定しました。
(10) 選考委員会における委員を決定しました。
(11) 提言「災害に対する社会福祉の役割―東日本大震災への対応を含めて-」について、社会学
委員会社会福祉学分科会の白澤政和委員長、岩崎晋也副委員長より説明があり、審議の結果、所要の
修文を条件に承認しました。
(12) スウェーデン若手アカデミーとの交流(Sweden-Japan National Young Academy
Meeting in Stockholm)へ若手アカデミー委員会委員を派遣することを決定しました。
(13) "Global Platform for Disaster Risk Reduction"会議へ会長を派遣することを決定しました。
(14) 第13回アジア学術会議(13th Science Council of Asia Conference)へ会員を派遣すること
を決定しました。
(15) ラオスのアジア学術会議(Science Council of Asia)への新規加盟について推薦国となること
を決定しました。
(16) 日本学術会議協力学術研究団体の指定(5団体)を承認しました。
(17) 平成25年度各地区会議事業計画を承認しました。
(18) 地区会議構成員の所属地区の変更を決定しました。
(19) 18件のシンポジウム等の開催、2件の国際会議及び1件の国内会議の後援を決定しました。
(19) 野口英世アフリカ賞受賞記念講演会の主催を決定しました。
4 その他事項として、今後の幹事会開催日程について確認を行いました。
5 以下の非公開審議が行いました。
(1) 若手アカデミー委員会における分科会委員(特任連携会員)を決定しました。
(2) 東日本大震災復興支援委員会における分科会委員(特任連携会員)を決定しました。
(3) 分野別委員会における分科会委員(特任連携会員)を決定しました。
特段の事情を考慮し、1分科会につき複数名の特任連携会員を決定したのは以下の分科会となり
ます。
・地域研究委員会 国際地域開発研究分科会
(主に研究者として活躍しつつ実務にも精通した人材と、主に援助機関で業績を上げつつ学術研究
にも造詣の深い人材が、いずれも不可欠であるため)
・総合工学委員会・機械工学委員会合同 工学システムに関する安全・安心・リスク検討分科会
(現在、中国に遺棄された化学兵器の廃棄処理が本格化のフェーズに入っており、その分野の
専門家として審議への参加が不可欠であるため)
(4) 外部委員候補者の推薦を決定しました。

 

◎第173回幹事会(平成25年5月20日(月))
(会則第26条による幹事会における議決方法の特例により、メール審議を行いました)

非公開審議事項
1  国際関係  
提案1 IAC理事メンバーへの日本学術会議からの立候補について

提案1について原案のとおり承認されました。

 

◇◆◇次回の総会日程について◇◆◇――――――――――――――――――――― 

次回以降の総会について、以下日程で開催が予定されております。
会員の皆様におかれましては、ご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

 「第165回総会」 平成25年10月2日(水)~4日(金)