理事長就任のご挨拶


「競争でなく協奏と共創を目指して」

 

 2021年5月より柳雄介前理事長の後任として、理事長を務めさせて頂くことになりました長田裕之です。
 日本微生物学連盟は、日本学術会議の総合微生物科学分科会、IUMS分科会及び病原体学分科会と協力して「我国の微生物学関連学術団体の連携強化と微生物学分野全般に関わる研究・教育の推進を通じて微生物学の発展を図り、微生物学分野における国際交流の促進を行うことにより、社会に貢献することを目的」として2007年に設立されました。歴代理事長(野本明男先生、笹川千尋先生、柳雄介先生)のリーダーシップのもと、多くの方々のご尽力により、現在23の学術団体を擁するまで発展しました。野本理事長は、2011年に札幌で開催された国際微生物学連合(IUMS)会議の準備委員長として、IUMS2011札幌大会の成功を導かれました。笹川理事長は、中高生や一般社会人を対象にした連盟主催の公開フォーラムを始めました。公開フォーラムは、一般の方々に微生物についてもっとよく知って頂くというだけでなく、複数の学会が共同で企画・運営することで、学会間のコミュニケーション促進にも大いに役立っていると思われます。柳理事長は、微生物学連盟が顕彰する初めての賞となる野本賞を設立しました。①病気と健康、②生活への応用、③環境とエネルギーの3つの分野で、優れた研究成果を挙げ、かつ将来の発展が期待される方に賞を授与することになりました。
 しかし、本連盟の発展とは裏腹に、一昨年暮れに発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、わずか1年半の間に世界中の死亡者が300万人を超えるパンデミックとなってしまいました。昨年5月には、ウイルスや感染症の専門家集団である本連盟は、「1.新型コロナウイルスを含む微生物によって引き起こされる感染症に関する知見を深化させることを通して、社会に貢献する。2.人間社会における感染症の拡がりを抑えるため、国内外の関係学会、研究機関と協力して、感染メカニズムの解明、診断法・治療薬の開発に取り組んでいく。3.初等中等教育で、微生物や感染症についての知識が深まるよう提案する。」ことを趣旨とする「新型コロナウイルス感染症に関する声明」を発表しました。
 COVID-19だけでなく、今後も発生するかもしれない感染症に対し、多くの市民が科学的に正しい知識を持つことは、誤解や過度の不安を防ぐことにつながります。現在は、病原体としてのウイルスに世間の関心が集中していますが、我々の周りには、病原性を持つ微生物だけでなく、醗酵食品を作る微生物、環境保全に関わる微生物など様々な微生物が存在しています。本連盟には、このように多岐にわたる微生物を研究対象としている様々な学術団体が加盟していますので、本連盟が協奏と共創の場となって、微生物に関する情報を広く社会に伝える役割を担っていけるようにしたいと思います。
 微力ではありますが、私は歴代理事長が築かれてきた活動を継承し、微生物分野の発展に尽力したいと思いますので、本連盟に関わる皆様におかれましても、ご支援とご協力をお願いいたします。

2021年6月1日
日本微生物学連盟理事長 長田 裕之