日本学術会議「幹事会だより No.113」について

 

 

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幹 事 会 だ よ り No.113
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                            平成26年11月28日発行

                               日本学術会議会長
                                   大西 隆

  今回は11月21日(金)に開催されました幹事会で、議事要旨が確認されましたことを
受け、10月23日(木)に開催されました第204回幹事会の議事の概要を御報告いたしま
す。


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  会長・副会長より
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〔 会長 大西隆 〕 
 期の境には、委員会・分科会のメンバーの交代、新しい委員会・分科会の発足等で、幹
事会は多くの事項を処理します。既に分野別委員会や部でチェックしたものを処理してい
くので、概ね原案通りに認められるのですから、この時期、幹事会はやや事務処理機関の
様相を呈します。
  前期も同様で、新人会長だった私は、日本学術会議の幹事会が実質審議のない、事務処
理機関になってよいのかと思ったものです。しかし、心配は無用、これはやはり期首の行
事でした。やがて、種々のしっかりした検討を必要とする事項が増え、期末には、膨大な
数の提言等の個々について修正を含む審議を行うという、なかなか骨の折れる仕事が待っ
ていました。今期も恐らくこうした経過を辿るのではないかと思います。
  さて、今期においても、今回の幹事会で、期末期首に伴う委員会の発足や委員の選任が
一段落しました。これから、幹事会では、今期どんなテーマに重点を置いて取り組むべき
かに関する審議を行っていきたいと思っています。前期は、最初に幹事会主導で発足させ
たのは、「東日本大震災復興支援委員会」でした。これに続けて、科学研究の健全性、原
子力利用の将来像、大学教育の質向上、フューチャー・アース、緊急時における学術会議
の対応、若手アカデミーの立ち上げ等に取り組んできました。これらのうち、かなりのテ
ーマについては、前期のうちに提言等を出して方向を示すことができました。それらを踏
まえて、今期においても引き続いて取り組んでいくつもりです。
  今期、最初に新規発足させたのは、第5期の科学技術基本計画の策定に当たって、学術
の観点から意見を述べるための委員会でした。既に総合科学技術・イノベーション会議や
文部科学省の委員会で審議が始まっているので、日本学術会議としても急いで議論を始め
る必要があると考えたからです。
  これに続いて、どんなテーマを、どんな狙いで、どんなメンバーで議論していくべきな
のか、幹事会ではこれから2ヶ月くらいかけて検討していくつもりです。各部、事務局、
あるいは会長・副会長に直接、という様々なルートで会員・連携会員の皆様からのご意見
も頂戴できれば幸いです。

〔 政府・社会・国民との関係担当副会長 井野瀬久美惠 〕
 10月及び11月の定例幹事会で、「社会と科学委員会」と、その分科会の委員が決定され
ました。来月、第一回会合を持つことにしています。そこではまず、前期の反省を踏まえ
て、査読体制の向上と提言等の出し方について、具体的な意見交換をしたいと思っていま
す。
  それと関わって、政府や社会、国民との連携という役割を預かる立場からは、学術会議
のプレゼンスはどうあるべきか、ということがとても気になっています。
  210名の会員と約2000名の連携会員から成る学術会議は、84万人といわれる日本の科学
者を代表しているとされます。この原点に今一度立ち返り、日本の学術の未来という長期
展望と、日本が抱える課題解決のために今何ができるのかという両面において、「学術会
議とは何か」を考えていかねばなりません。それは、新しい体制になって10年目の検証と
重なる第23期の使命、いいえ、好機だとも思うのです。
  引き続き、皆さまのお力添えをよろしくお願いいたします。

〔 国際活動担当副会長 花木啓祐 〕
去る11月始めにパリにて二つの会議に参加して参りました。
  第一は、2年に一度開催される世界科学会議(WSF)の運営会議で、次回は来年11月にブ
ダペストで開催されます。この会議はハンガリー科学アカデミー、ユネスコ、ICSUの共催
で行われるものです。
  第二はIAP - the global network of science academiesの執行委員会です。この組織
をさらに分野横断的にするために他組織との統合が検討されています。IAPに対してはイ
タリア政府が全面的な資金援助をしています。
  このように、特定の国際ネットワークを支援する場合には、当該国あるいはそのアカ
デミーの存在感が増してきます。ちなみに、日本学術会議はアジア学術会議(SCA)の事務
局を務めており、2015年5月にはカンボジアでの総会開催を予定しています。


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  以下、第204回第幹事会の概要となります。

◎第204回幹事会(平成26年10月23日(木)13:30~15:30)
1 前回議事要旨の確認を行いました。
2 以下の公開審議を行いました(※)。
(1) 移転検討委員会委員を決定しました。
(2) 科学者に関する国際人権問題委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件)を決定する
とともに、委員会等委員(1委員会、1分科会)を決定しました。
○新規設置
・科学者に関する国際人権問題委員会 国際人権対応分科会
(3) 東日本大震災復興支援委員会運営要綱の一部改正(新規設置3件)を決定するととも
に、分科会委員(3分科会)を決定しました。
○新規設置
・東日本大震災復興支援委員会 エネルギー供給問題検討分科会
・東日本大震災復興支援委員会 汚染水問題対応検討分科会
・東日本大震災復興支援委員会 原子力発電所事故に伴う健康影響評価と国民の健康管理
並びに医療のあり方検討分科会
(4) 東日本大震災に係る学術調査検討委員会委員を決定しました。
(5) 原子力利用の将来像についての検討委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件)を決
定するとともに、委員会等委員(1委員会、1分科会)を決定しました。
○新規設置
・原子力利用の将来像についての検討委員会 原子力発電の将来検討分科会
(6) 大学教育の分野別質保証委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件)を決定するとと
もに、委員会等委員(1委員会、1分科会)を決定しました。
○新規設置
・大学教育の分野別質保証委員会 企画連絡分科会
(7) フューチャー・アースの推進に関する委員会運営要綱の一部改正(委員の構成の変更
1件)を決定するとともに、委員会委員を決定しました。
(8) 学術の観点から科学技術基本計画のあり方を考える委員会委員を決定しました。
(9) 選考委員会委員を決定しました。
(10)科学者委員会広報分科会と科学と社会委員会科学力増進分科会を統合するために、科
学者委員会運営要綱及び科学と社会員会運営要綱の一部を改正し、科学者委員会・科学と
社会員会合同広報・科学力増進分科会を設置することを決定しました。
(11)科学者委員会における委員会等委員(1委員会、4分科会)を決定しました。
(12)科学と社会委員会における委員会等委員(1委員会、3分科会)を決定しました。
(13)国際委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件)及び委員会等委員(1委員会、5分科
会)を決定しました。
○新規設置
(14)分野別委員会運営要綱の一部改正(新規設置21件、名称及び調査審議事項の変更3
件、名称、委員の構成及び調査審議事項の変更1件、調査審議事項の変更1件、設置期限の
変更1件、委員の構成の変更4件、廃止2件)及び委員会等委員(4委員会、35分科会、22小
委員会)を決定しました。
〇新規設置
・心理学・教育学委員会 公正原理を重視する公教育システムの再構築分科会
・社会学委員会 情報と社会変容分科会
・社会学委員会 東日本大震災の被害・影響構造と日本社会の再生の道を探る分科会
・史学委員会・地域研究委員会・法学委員会・政治学委員会合同 ジェンダーと政治分科会
・法学委員会 人口減少社会と法分科会
・法学委員会 「IT社会と法」分科会
・法学委員会 「学術と法」分科会
・法学委員会 社会と教育におけるLGBTIの権利保障分科会
・法学委員会 持続可能社会とケアワークの再定位分科会
・法学委員会 「市民性」涵養のための法学教育システム構築分科会
・法学委員会 「政治的表現と開かれた社会の基礎的法制度」分科会
・法学委員会 「大規模災害と法」分科会
・法学委員会 「セーフティ・ネットのあり方を考える」分科会
・法学委員会 関係性における暴力分科会
・法学委員会 「新たな”規範的秩序”の生成」分科会
・経済学委員会 持続的発展のための制度設計分科会
・経営学委員会 ダイバーシティと仕事のあり方に関する検討分科会
・土木工学・建築学委員会 インフラ健全化システム分科会
・環境学委員会・土木工学・建築学委員会合同 低炭素・健康社会の実現への道筋と生活
様式・消費者行動分科会
・土木工学・建築学委員会 地方創生のための国土・まちづくり分科会
・土木工学・建築学委員会 大地震に対する大都市の防災・減災分科会
〇名称及び調査審議事項の変更
・社会学委員会 社会統計調査アーカイヴ分科会
・史学委員会 IUHPST分科会
・地域研究委員会 人文・経済地理分科会
〇名称、委員の構成及び調査審議事項の変更
・地域研究委員会・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 地球環境変化の人間的側面
(IHDP) 分科会
〇調査審議事項の変更
・心理学・教育学委員会 脳と意識分科会
〇設置期限の変更
・地域研究委員会 国際地域開発研究分科会
〇委員の構成の変更
・地球惑星科学委員会 IUGS分科会 CGI小委員会
・地球惑星科学委員会 IUGG分科会IASPEI小委員会
・地球惑星科学委員会 IUGG分科会IAVCEI小委員会
・地球惑星科学委員会 COSPAR(宇宙空間研究委員会)分科会
〇廃止
・史学委員会 IUOAS分科会
・史学委員会 IUOAS分科会ICANAS小委員会
(15)課題別委員会「高レベル放射性廃棄物の処分に関するフォローアップ検討委員会」を
新規に設置することとし、設置要綱を決定しました。
(16)健康・生活科学委員会の地方開催を決定しました。
(17)若手アカデミー運営要綱を決定しました。
(18)7件のシンポジウム等の開催を決定しました。
(19)国連国際防災戦略/第2回政府間準備会合(PrepCom2)に連携会員を派遣することを決
定しました。
3 その他事項として、今後の幹事会、総会及び第23期連携会員説明会の開催日程につい
て確認を行いました。
4 以下の非公開審議を行いました(※)。
(1) 原子力利用の将来像についての検討委員会における委員(特任連携会員)を決定しま
した。
(2) 大学教育の分野別質保証委員会における委員(特任連携会員)を決定しました。
(3) フューチャー・アースの推進に関する委員会における委員(特任連携会員)を決定し
ました。
(4) 分野別委員会における小委員会委員を決定しました。

※…幹事会附置委員会及び機能別委員会の委員会等委員(特任連携会員も含む。)の決定
については、事前に委員候補者から委員就任の内諾を得ていないものもあったため、委員
候補者の承諾を得た上で正式決定という扱いとなりました。



◇◆◇次回の総会日程について◇◆◇――――――――――――――――――――― 

次回以降の総会について、以下日程で開催が予定されております。
  会員の皆様におかれましては、ご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

  「第169回総会」 平成27年4月9日(木)~4月11日(土)
  「第170回総会」 平成27年10月1日(木)~10月3日(土)
  「第171回総会」 平成28年4月7日(木)~4月9日(土)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇

日本学術会議HP
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