日本学術会議「幹事会だより No.114」について
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幹 事 会 だ よ り No.114
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平成27年1月15日発行
日本学術会議会長
大西 隆
今回は12月26日(金)に開催されました幹事会で、議事要旨が確認されましたことを受
け、11月21日(金)に開催されました第205回幹事会の議事の概要を御報告いたします。
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会長・副会長より
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〔 会長 大西隆 〕
皆様、新年明けましておめでとうございます。今年は第23期の活動も本格化する年にな
ります。日本学術会議の活動を一層発展させるために、ご尽力いただきますようによろし
くお願いします。
さて、今回の話題は、昨年末、12月11日に、「科学研究の健全性向上のための共同声明
」を発表したことです。新聞各紙でも報道されたので、ご覧いただいた方も多いと思いま
す。共同声明はタイトル通りの内容で、特に、問題が発生した時には第三者の視点を入れ
て客観性の高い調査を行うことと、事前の予防策として、健全な科学研究のあり方に関す
る学習を徹底することを呼びかけたものです。その上で、2つの点で特徴があります。
第1は、大学セクターを統合する3組織(国大協、公大協、私大団体連合会)と日本学術
会議が連名で出したことです。日本の科学者のほとんどが教育や科学者としての訓練を受
け、また多くが所属する大学組織が、共同でこうした声明を出したのは初めてのことだと
思います。これを機会に、科学研究の健全性向上のために、こうした枠組みでの取り組み
を継続させていきたいと思っています。
第2は、日英文で同時に発表したことです。一昨年くらいから、日本で研究不正に関わ
る事案が連続的に大きく取り上げられており、海外の学術組織からも日本の対応が注目さ
れてきました。日本学術会議でも、種々の提言、会長談話、幹事会声明などを出して、こ
の問題へ対処してきました。しかし、2013年1月に発表した声明「科学者の行動規範―改
訂版―」の英語版を除いて、多くは、日本文での発表に留まっていました。今回は、当初
から日英文で同時に発表することを計画し、HPに掲載しただけではなく、各国アカデミー
等にも送付しました。日本の科学者がこの問題に真剣に取り組んでいること示す一助にな
ったのであれば幸いです。
「科学研究の健全性」というテーマが、まさに日本学術会議が取り組むべきテーマであ
ることはその通りです。加えて、今回の2つの特徴、すなわち、他の組織と連携すること
によって、日本学術会議の活動の輪を広げていくこと、重要なメッセージについては英文
で早く発表して、アカデミーの国際社会の中の理解を広げたり、参考にしてもらうことを
今後とも重視していきたいと思います。
〔 政府・社会・国民との関係担当副会長 井野瀬久美惠 〕
2014年12月3日、大分で行われた九州・沖縄地区会議に出席しました。午後からの学術
講演会「高齢化社会を支える―地域医療と福祉テクノロジー―」では、超高齢化、認知
症、ロボットテクノロジーをめぐる最先端の研究――それゆえに複雑で難解な内容――
が、いずれも、実にわかりやすく、言葉を尽くして語られる様子に、心を大きく揺さぶら
れました。取組みの真摯さが伝わってきました。
と同時に、現代社会(そして世界)が抱える課題は、もはや単一の学知で解けるような
単純なものではなく、だからこそ、学術会議に集結した異なる専門知をどのように絡め合
わせれば総合知として意味あるものになるか、そこに学術会議の底力が問われているのだ
と痛感しました。言い換えれば、学術会議全体の活動に「横串」を通し、政府や社会、国
民へのインパクトを高める、ということでしょうか。そのためにも、われわれの活動全体
を俯瞰的に眺め直す必要があります。
それは、学術会議の意思の表出とも直結しています。前期の課題を受けて、2014年のク
リスマス、仕事納めの前日に開催された第一回「科学と社会委員会」において、査読体制
の強化が議論されました。各委員会・分科会において「学術会議からの発信」であること
を今一度意識していただくための具体的な仕組みについては、次回の幹事会だよりでお伝
えできればと思っております。
今年もどうかよろしくお願いいたします。
〔 国際活動担当副会長 花木啓祐 〕
日本学術会議の制度改革から近々10年目を迎えるにあたり、「日本学術会議の新たな展
望を考える有識者会議」が内閣府において開催されており(http://www8.cao.go.jp/scj/
)、当事者として二度出席して参りました。
そこでの論点の一つに、学術の多様性と意見集約の課題があります。合わせて約2,100
名の会員、連携会員の声を一つにまとめることは容易ではありません。しかしその一方
で、様々な学術分野の多様な意見を得るためには2,100名は多すぎることはないと考えて
おります。その多様なご意見を反映していく場が、様々な委員会・分科会やシンポジウム
です。皆様には、是非活発に日本学術会議の活動に参加いただくことを、改めてお願いし
たいと思います。皆様のお力によって、学術の多様性を生かした活動を日本学術会議が進
めることが可能になり、それは、次世代に引き継ぐ学術界全体の財産になっていきます。
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以下、第205回第幹事会の概要となります。
◎第205回幹事会(平成26年11月21日(金)13:30~15:25)
1 前回議事要旨の確認を行いました。
2 以下の公開審議を行いました。
(1) 科学者に関する国際人権問題委員会委員を決定しました。
(2) 東日本大震災に係る学術調査検討委員会委員を決定しました。
(3) 学術の観点から科学技術基本計画のあり方を考える委員会委員を決定しました。
(4) 科学者委員会委員を決定しました。
(5) 科学と社会委員会委員を決定しました。
(6) 分野別委員会運営要綱の一部改正(新規設置6件、委員構成の変更14件、委員会名及
び調査審議事項の変更2件、調査審議事項の変更1件)及び委員会等委員(8委員会、167分
科会、5小委員会)を決定しました。
〇新規設置
・臨床医学委員会 感覚器分科会
・基礎医学委員会・臨床医学委員会合同 腫瘍分科会
・臨床医学委員会 手術データの全国登録と解析に関わる分科会
・数理科学委員会 統計学分野の参照基準検討分科会
・地球惑星科学委員会 地球惑星科学人材育成分科会
・土木工学・建築学委員会 巨大津波に対する国土計画と防災・減災分科会
〇委員構成の変更
・哲学委員会 芸術と文化環境分科会
・哲学委員会 古典精神と未来社会分科会
・哲学委員会 いのちと心を考える分科会
・哲学委員会哲学・倫理・宗教教育分科会
・心理学・教育学委員会 公正原理を重視する公教育システムの再構築分科会
・社会学委員会 社会福祉学分科会
・法学委員会 「グローバル化と法」分科会
・基礎医学委員会免疫学分科会
・物理学委員会 IAU分科会
・物理学委員会 物性物理学・一般物理学分科会
・物理学委員会 天文学・宇宙物理学分科会
・総合工学委員会 エネルギーと科学技術に関する分科会
・総合工学委員会・機械工学委員会合同 計算科学シミュレーションと工学設計分科会 計
算力学小委員会
・総合工学委員会サービス学分科会
〇委員会名及び調査審議事項の変更
・地球惑星科学委員会 地球惑星科学国際連携分科会
・情報学委員会 e-サイエンス・データ中心科学分科会
〇調査審議事項の変更
・電気電子工学委員会 URSI分科会
(7) 国際委員会における委員会等委員(1委員会、2分科会)を決定しました。
(8) 高レベル放射性廃棄物の処分に関するフォローアップ検討委員会委員を決定しまし
た。
(9) Future Earth科学委員会-連携委員会合同会議へ連携会員を派遣することを決定しま
した。
(10)平成26年度代表派遣について、実施計画に基づく1-3月期の会議派遣者を決定するこ
とを決定しました。
(11)地区会議運営協議会委員の追加(6地区会議)を決定しました。
(12)地区会議構成員の所属地区の変更を決定しました。
(13)5件のシンポジウム等の開催を決定しました。
3 その他事項として、今後の幹事会及び総会の開催日程について確認を行いました。
4 以下の非公開審議を行いました。
(1) 東日本大震災復興支援委員会における分科会委員(特任連携会員)を決定しました。
(2) 国際委員会における分科会委員(特任連携会員)を決定しました。
(3) 分野別委員会における分科会委員(特任連携会員)及び小委員会委員を決定しまし
た。
特段の事情を考慮し、電気電子工学委員会URSI分科会に、複数名の特任連携会員を決定し
ました。
(URSI関連活動が活性化している状況下で、国際組織であるURSIと緊密に連携・協力して
いくためには、URSI本部の運営に携わる人材と、URSI Commission全体の活動状況にも精
通した人材が不可欠であるため。)
(4) 高レベル放射性廃棄物の処分に関するフォローアップ検討委員会における委員(特任
連携会員)を決定しました。
(5) 平成26年度代表派遣1-3月期の会議派遣者に関連し、国際業務に参画するための特任
連携会員の任命の決定を決定しました。
◇◆◇次回の総会日程について◇◆◇―――――――――――――――――――――
次回以降の総会について、以下日程で開催が予定されております。
会員の皆様におかれましては、ご参加をどうぞよろしくお願いいたします。
「第169回総会」 平成27年4月9日(木)~4月11日(土)
「第170回総会」 平成27年10月1日(木)~10月3日(土)
「第171回総会」 平成28年4月7日(木)~4月9日(土)
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日本学術会議HP
http://www.scj.go.jp/index.html