日本学術会議「幹事会だより No.116」について

 

 

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幹 事 会 だ よ り No.116
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                            平成27年3月10日発行

                               日本学術会議会長
                                   大西 隆

 今回は2月27日(金)に開催されました幹事会で、議事要旨が確認されましたことを受
け、1月29日(木)に開催されました第209回幹事会の議事の概要を御報告いたします。



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  会長・副会長より
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〔 会長 大西隆 〕 
 2月27日(金)の幹事会では、今期始まった委員会としては最初の提言を承認しました。
 「学術の観点から科学技術基本計画を考える委員会」が取りまとめた「第5期科学技術
基本計画のあり方に関する提言」がそれです。科学技術基本計画は、政府の科学技術政策
における基本方針を定める計画で、5ヵ年計画として更新されてきており、次期は2016年
度からとなっています。第4期では、5年間で総額25兆円の科学技術予算を投ずることが
謳われましたが、結果としては、2011年度を除いて、年平均5兆円の水準には達していま
せん。総額をどれ程にできるのかは、まさに国の財政状況にも左右されるの、現在のよう
な国家財政の赤字状態であれば、上積みするのが困難であることは理解できます。しかし、
一方で、教育と科学技術研究開発を含むこの予算が十分でなければ、研究開発そのものが
滞り、他国に遅れをとることになりかねません。科学技術関係予算は、将来への投資とい
う役割を帯びており、次代に花開く技術や人材の育成を、いま仕込んでおくという観点か
らの投資が必要な分野です。もちろん仕込んだものが、きちんと花開かなければ無駄にな
りますから、十分な成算をもって研究開発に挑むことだが大事ですが、その重要性を知る
ものは、先行投資の必要を国民に説く役割を果たさなければならないでしょう。提言が、
今後の科学技術イノベーション政策に生かされるよう働きかけていきます。
  さて、この委員会の提言がまとまったのを受けて、新たに「学術振興の観点から国立大
学の教育研究と国による支援のあり方を考える検討委員会」を発足させました。前期の第
5期科学技術基本計画をめぐる議論の中でも、科学技術政策の重要な一翼を占める大学の
行方を心配する声は小さくありませんでした。運営費交付金が漸減し、運営が行き詰る国
立大学が現れる可能性があるからです。我が国では、私立大学や公立大学も重要な役割を
果たしているので、国公私立大学、それぞれの置かれている状況を考察し、公平な観点
で、現状を評価し、役割を検討することが必要です。その上で、現在、改革論が様々に論
じられている国立大学について、研究教育において果たしている役割や可能性、さらに、
立地都市において果たしている役割等についての検討を踏まえて、国による支援のあり方
を考えようというのがこの委員会設置の趣旨です。これから委員の人選を行って、議論の
態勢を整え、良い成果を出していきたいと思っています。

〔 政府・社会・国民との関係担当副会長 井野瀬久美惠 〕
 先月の幹事会だよりで、提言等の意思の表出に際して、作成者に内容を最終確認いただ
き、その後の査読を円滑に行うための「提言等の提出チェックシート」を作成しているこ
とをお知らせしましたが、2月の幹事会で、チェックシートの運用を開始することが承認
されました。会長メッセージ「提言等の円滑な審議のために」(2014年5月30日)(
http://www.scj.go.jp/ja/head/pdf/140530.pdf)を、11項目に整理し、わかりやすく見
やすくしたものです。今後試行しつつ、査読体制の強化とも結びつけてバージョンアッ
プを行い、学術会議の発信力を高める一助になればと思っております。
  皆様には、2015年3月以降、提言等の提出時に、このチェックシートへの記入をお願い
することになります。使い勝手についてのご意見、どうかお聞かせください。

○日本学術会議HP内「提言等の提出チェックシート」URL
  http://www.scj.go.jp/ja/scj/kisoku/119.pdf 

〔 国際活動担当副会長 花木啓祐 〕
 2月23-24日に、G7学術会議のドイツ会合が開催されました。この会合はGサイエンス学
術会議とも呼ばれ、主要国首脳会議を開催する国の科学アカデミー(学術会議)が中心と
なって、場合によって若干の国々のアカデミーが加わって会合を開催するものです。この
会合を通じて短い声明文を作成し、それを各国の首脳に手渡します。日本では、毎回日本
学術会議会長が時の内閣総理大臣に手交しています。
  その慣例に従い、今回は2015年の主要国首脳会議開催国ドイツの科学アカデミーである
レオポルディーナが会合を企画しました。ドイツ側から、(1)薬剤耐性菌感染症、(2)顧み
られない熱帯病、(3)海洋の将来、の3つの課題の声明文の原案が提示されるところからス
タートしました。それぞれの課題の専門家の方々の意見を聴取し、改訂意見を日本からド
イツ側に送り、ドイツ側は各国アカデミーからのコメントを考慮した改訂案を作成し、そ
の改訂案を元にレオポルディーナに各国アカデミーのメンバーが集まって、ワークショッ
プ形式で討議が行われました。その討議には、専門分野が近い、長崎大学熱帯医学研究所
・平山謙二教授、東京大学大気海洋研究所・植松光夫教授と、環境学を専門とする私が参
加しました。
  各国首脳に渡す文書ですから、それぞれの声明文は長くても2ページ以内でなければな
りません。科学者の意見を反映しつつも、政策決定者にとって有用な内容に繋がる内容を
その中に含めるという点が、困難な点でありました。これは、客観的な事実を元に社会に
対して有用な提案をするという、科学者の重要な役割です。あわただしい中にも充実した
二日間の討議が終わり、あとはメールベースで声明文を仕上げるという段階になっていま
す。
  さて、来年は日本で主要国首脳会議が開かれますので、このGサイエンス学術会議も日
本開催となります。本2015年後半には、国連においてSDGs (Sustainable Development
Goals)が定められ、2015年以降の世界の目標が示されます。また気候変動枠組条約第21回
締約国会議(COP-21)がパリで開かれます。これらの動向を含むさまざまな状況を踏まえな
がら課題の選択を考えていく予定です。



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 以下、第209回幹事会の概要となります。

◎第209回幹事会(平成26年1月29日(木)13:30~16:30)
1 前回議事要旨の確認を行いました。
2 以下の公開審議を行いました。
(1) フューチャー・アースの推進に関する委員会における委員を決定しました。
(2) 科学者委員会・科学と社会委員会合同広報・科学力増進分科会小委員会の設置等に伴
う科学者委員会運営要綱及び科学と社会委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件、廃止
1件)並びに小委員会委員(1小委員会)を決定しました。
○新規設置
・科学者委員会・科学と社会委員会合同 広報・科学力増進分科会 高校理科教育検討小委
員会
○廃止
・科学者委員会・科学と社会委員会合同 広報・科学力増進分科会科学技術リテラシー小
委員会
(3) 国際委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件、廃止2件)及び小委員会委員(1小委
員会)を決定しました。
○新規設置
・国際委員会 Gサイエンス及びICSU等分科会 ICSU対応小分科会
○廃止
・国際委員会 G8及びICSU等分科会 ICSU附置委員会対応小分科会
・国際委員会 G8及びICSU等分科会 IAP附置委員会対応小分科会
(4) 第一部科学と社会のあり方を再構築する分科会を設置することを決定しました。
(5) 分野別委員会運営要綱の一部改正(新規設置13件、廃止1件、委員構成の変更4件、委
員会名、調査審議事項及び委員構成の変更1件)及び委員会等委員(1委員会、34科会、12
小委員会)を決定しました。
〇新規設置
・地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同 地理教育分科会 地誌教育小委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 MAHASRI・
GEWEX小委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 IGAC小委
員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 IMBER小
委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 SOLAS小
委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 CLIVAR小
委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 GLP小委
員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 SPARC小
委員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 Clic小委
員会
・環境学委員会・地球惑星科学委員会合同 IGBP・WCRP・DIVERSITAS合同分科会 iLEAPS小
委員会
・総合工学委員会 エネルギーと科学技術に関する分科会 大型レーザーによる高エネルギ
ー密度科学の新展開小委員会
・法学委員会・経済学委員会・土木工学・建築学委員会合同 知的生産者の公共調達検討
分科会
・土木工学・建築学委員会 知的創造と活動を喚起する環境としての大学等キャンパスに
関する検討分科会
○廃止
・地球惑星科学委員会 国際対応分科会 WDC小委員会
〇委員構成の変更
・心理学・教育学委員会 公正原理を重視する公教育システムの再構築分科会
・地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同 地理教育分科会 地図/GIS教育小委員会
・地球惑星科学委員会 国際連携分科会 IASC(国際北極科学委員会)小委員会
・総合工学委員会 原子力事故対応分科会 原発事故による環境汚染調査に関する検討小
委員会
〇委員会名、調査審議事項及び委員構成の変更
・地域研究委員会・地球惑星科学委員会合同 地理教育分科会自然地理学・環境防災教育
小委員会
(6) 課題別委員会「オープンサイエンスの取組に関する検討委員会」を新規に設置するこ
ととし、設置要綱を決定しました。
(7) 平成26年度代表派遣について、実施計画の一部を変更することを決定しました。
(8) イスラエルとの二国間交流活動における「水問題」ワークショップに会員等を派遣す
ることを決定しました。
(9) 第19回Edoardo Amaldi Conferenceに会員を派遣することを決定しました。
(10) IUGG(国際測地学および地球物理学連合)総会にかかる出張者に信任状を発出する
ことを決定しました。
(11) 12件のシンポジウム等の開催、1件の国内会議の後援を決定しました。
なお、提案21(公開シンポジウム「国際光年記念シンポジウム」の開催について)は、
主催を第三部とし、開催趣旨に所要の修正を行うこととなりました。
3 その他事項として、第169回総会及び今後の幹事会の開催日程について確認を行いま
した。
4 以下の非公開審議を行いました。
(1) フューチャー・アースの推進に関する委員会における委員(特任連携会員)を決定
しました。
(2) 科学者委員会・科学と社会委員会合同広報・科学力増進分科会における小委員会委
員を決定しました。
(3) 分野別委員会における分科会委員(特任連携会員)(8分科会)及び小委員会委員
(17小委員会)を決定しました。
(4) 平成26年度追加の代表派遣の会議派遣者に関連し、国際業務に参画するための特任
連携会員の任命を決定しました。


◇◆◇次回の総会日程について◇◆◇――――――――――――――――――――― 

次回以降の総会について、以下日程で開催が予定されております。
  会員の皆様におかれましては、ご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

  「第169回総会」 平成27年4月9日(木)~4月11日(土)
  「第170回総会」 平成27年10月1日(木)~10月3日(土)
  「第171回総会」 平成28年4月7日(木)~4月9日(土)

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日本学術会議HP
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