日本学術会議「幹事会だより No.124」について

 

 

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幹 事 会 だ よ り No.124
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                                平成27年11月13日発行

                                   日本学術会議会長
                                       大西 隆

今回は10月1日(木)及び10月30日(金)に開催されました幹事会で、それぞれ議事要
旨が確認されましたことを受け、9月18日(金)に開催されました第218回幹事会及び10月
1日(木)に開催されました第219回幹事会の議事の概要を御報告いたします。


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  会長・副会長より
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〔 会長 大西隆 〕 
 10月29日付で、日本学術会議の財政危機についての会長メッセージ「平成27年度におけ
る旅費・手当の不足と対応策(お願い)」(※1)を出しました。平成24年度、平成25年
度に続いて近年では、これで3回目です。財政危機が常態化していることは、大変残念で
あり、申し訳ありません。
 どうしてこういうことになるのかを改めて説明させていただきます。日本学術会議の予
算は、内閣府の予算の一部ではありますが、独立性の高い形で(内閣府の他の部局の予算
との融通性がなく)計上されており、およそ10億円という規模です。概ねその半分が国家
公務員である事務局の人件費で、残りが会員・連携会員の旅費・手当あるいは国際学術団
体の分担金等に充てられます。
  毎回、問題になるのは、旅費と手当です。手当とは会員・連携会員の日本学術会議の諸
会議への出席手当であり、旅費とはそのための旅費や、海外での開催を含むその他の会議
出席のための旅費です。手当については、概算要求で増額を求め、平成27年度には1,500
万円程の増額を認めてもらっています(会員選考経費の加算がない平成25年度との比較
)。しかし、旅費については、むしろ若干削減されています(同)。ご承知のように、会
議には成立条件があり、海外旅費については派遣の承認手続がある等、これらの支出は厳
格に管理されています。しかし、旅費・手当の発生の元となる委員会・分科会等の開催に
ついては、回数の定めや、構成員数の上限は特に設けていません。本年度は、会議の開催
回数は平成24年度や平成25年度に比べて特に多くはないのですが、出席率が高く、また、
地方を本拠地とする委員が増えたので、特に旅費がかさんでいます。この結果、10月段階
での年度見通しで、会員への手当はぎりぎりで、連携会員への手当は34%程の超過の恐
れ、さらに会員・連携会員への旅費は23%程の超過が見込まれました。
  予算不足を避けるためには、会議の開催や各会議の委員数の管理をより厳しく行う方法
がありそうです。しかし、会員・連携会員が自由に会議を組織し、必要に応じて会議を開
催することを尊重する観点から、これまで開催数や委員数の上限を設けることは適当では
ないと考えてきました。その代わりに、4半期ごとに旅費・手当の支出を集計して、予算
の執行状況をチェックしています。しかし、集計にはやはり時間がかかる上、ほとんどの
職員は2年程で異動するので、予算執行のチェック方法や財政事情に関する問題意識が継
承されているとはいえません。こうした事情で、どうしても、10月頃から対策が必要な事
態が発覚することになりがちです。そして、不足が顕在化する場合には、これまで、手当
については自主的な暫定辞退、旅費についてはビデオ会議による参加を制度化して対応し
てきました。今回も、会長メッセージにあるように、この方法を適用することになりま
す。こうした状況対応的なやり方ではなく、初めから前述のように、より厳格に管理する
方法もあるかもしれません。毎年のように、このようなことで皆様にご迷惑をかけるのも
適当ではないので、会議の計画的な開催をもう少し重視して、日本学術会議の活動が活発
になっていることに対応した予算執行管理のあり方を探り、適用していきたいと思いま
す。

※1…会長メッセージ掲載ページのURL(SCJ Member Forum内)
  http://www.scjbbs.go.jp/bbs/viewtopic.php?f=88&t=461


〔 政府・社会・国民との関係担当副会長 井野瀬久美惠 〕
 幹事会前日の10月29日午前9:30、大西会長とともに、馳浩・新文部科学大臣に面談して
参りました。その2週間前の10月15日には、「6.8文部科学大臣通知」をめぐる学術会議幹
事会声明第2弾(※2)公表に係る記者会見に同席しましたが、私には、この2週間のうち
に事態が急速に動いた感がありました。国立大学の人文・社会科学系学部の改編・改組の
実態が新聞等で公表され、それに対して「国立大学法人17大学人文系学部長会議」が抗議
声明を出す(10月9日)といった出来事が続いたからでしょう。
 こういった情勢変化を踏まえながら、短い面談時間でしたが、私から馳大臣には次の2
点をお伝えしました。
(1)10月1~2日にパリで行われた「国際科学会議(ICUS)」の「科学研究における自由
と責任に関する委員会(CFRS)」でも、この通知が議題として取り上げられたこと
(2)しかもウズベキスタンにおける政治学の講義禁止と中国における「西洋の価値観を
評価する教科書」の廃止という2つの問題と並ぶ議題として扱われたこと
 上記を含めた委員会の詳細は、今後、学術会議内でも共有させていただく予定ですが、
(2)のラインナップを見ただけで、高等教育をめぐるグローバル化の「形」と「意味」
を痛感させられませんか?
 すでに前回の「幹事会だより」に書いたように、私は、今回の通知についてはグローバ
ルな視線を意識した対応が必要であると、文部科学省高等教育局長にお願いいたしまし
た。それは「新時代を見据えた国立大学改革」の英語版が10月1日に文科省HPで公表され
たことに認められます(※3)。しかしながら、それでこの問題が収束したわけではあり
ません。
 学術会議では、研究資金のあり方に関する諸問題や大学改革と絡めて、引き続き、人文
・社会科学の問題を考えていきます。第一部では、人文・社会科学系学部・大学院の改編
実態を具体的につかむべく、地方国立大学に足を運び、現場に直接聞き取り調査をする計
画を立てております。第一部役員とともに、私もいくつかの現場を見聞し、今後の学術会
議の活動に反映させられればと考えております。
 会員、連携会員の皆様、地方国立大学の実情に関する情報をお持ちでしたら、是非とも
ご教示いただけますようお願い申し上げます。

※2…幹事会声明「人文・社会科学系のあり方に関する声明への賛同・支援への謝意と大
学改革のための国民的合意形成に向けての提案」URL
  http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-kanji-2.pdf
※3…文部科学省HP
  http://www.mext.go.jp/english/highered/1362381.htm


〔 国際活動担当副会長 花木啓祐 〕
 去る9月中旬、北京にある中国科学技術協会(CAST - China Association for Science
and Technology)を大西会長が訪問し、日本学術会議との協力覚書に署名しました。この
協会は中国の200以上の学会のアンブレラ組織として、さまざまな活動を展開していま
す。皆様の中には、中国科学院(CAS - China Academies of Science)との交流をしてお
られる方もおられるかと思います。中国科学院は多くの研究所と学生、研究者を擁する研
究組織であるのに対し、中国科学技術協会は科学技術全体の促進や交流を進めており、日
本学術会議が事務局機能を担っているアジア学術会議(SCA)のメンバー組織でもありま
す。
 日本学術会議は、昨年2014年には韓国科学技術アカデミー(KAST - Korean Academy of
Science and Technology)とも学術協力覚書を締結しました。日本、中国、韓国の間の政
治情勢には、様々な懸案があることも事実ですが、学術の場で近隣諸国となすべき交流は
非常に多く、個別の学生の交換から大きな国際共同プロジェクトまで、様々な交流と共同
事業が進められています。まずは近隣国の間で個別交流の協定を持とう、というのが今回
の交流覚書締結の基本的な背景です。
 日本学術会議では、ICSU、IAPなど、国際ネットワーク組織による多国間交流に加え
て、これらの個別交流も推進していきたいと考えております。


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SCJ Member Forum (会員・連携会員専用掲示板)
http://www.scjbbs.go.jp/bbs/index.php?sid=a2c3ea40e52950b0a4c8409bd62cdaff
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日本学術会議HP
http://www.scj.go.jp/index.html

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 以下、第218回~第219回幹事会の概要となります。

◎第218回幹事会(平成27年9月18日(金)14:00~16:50)
1 文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」(平成2
7年6月8日)に関連して、文部科学省・常盤高等教育局長から「新時代を見据えた国立大
学改革」について説明を受けた上で、意見交換を行われました。
2 前回議事要旨の確認が行われました。
3 以下の公開審議が行われました。
(1) 補欠の連携会員の選任の要望を承認し、推薦を行う部を第二部に決定しました。
(2) 若手アカデミーの特任連携会員に係る規定を整理するために、「委員会及び分科会等
に係る特任連携会員の選考のあり方について」の一部を改正することを決定しました。
(3) 分野別委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件、定数変更1件)及び分科会等委員
(1委員会、1分科会、2小委員会)を決定しました。
〇新規設置
・地球惑星科学委員会 IGU分科会 地名小委員会
○定数変更
・総合工学委員会・機械工学委員会合同 計算科学シミュレーションと工学設計分科 会心
と脳など新しい領域検討小委員会
(4) 若手アカデミーにおける分科会委員(4分科会)を決定しました。
(5) AASSAの国際シンポジウムに会員を派遣することを決定しました。
(6) 15件のシンポジウム等の開催、1件の国内会議の後援を決定しました。
4 その他事項として、今後の幹事会及び第170回総会の開催日程について確認が行われ
ました。
5 以下の非公開審議が行われました。
(1) 分野別委員会における分科会委員(特任連携会員)(4分科会)及び小委員会委員(
5小委員会)を決定しました。
特段の事情を考慮し、基礎生物学委員会・統合生物学委員会・農学委員会・基礎医学委員
会合同遺伝資源分科会に、複数名の特任連携会員が任命されました。
(2) 原子力利用の将来像についての検討委員会における委員会等委員(特任連携会員)(
1委員会、1分科会)を決定しました。
(3) フューチャー・アースの推進に関する委員会における委員会委員(特任連携会員)(
1委員会)を決定しました。
(4) 日本学術会議の活動状況等に関する年次報告(平成26年10月~平成27年9月)を決定し
ました。
6 その他事項として、大西会長から、第23期外部評価有識者の委嘱について説明が行わ
れました。

◎第219回幹事会(平成27年10月1日(木)16:35~17:20)
1 前回議事要旨の確認が行われました。
2 以下の公開審議が行われました。
(1) 国際委員会運営要綱の一部改正(新規設置1件)及び分科会委員(1分科会)を決定し
ました。
〇新規設置
・国際委員会 防災・減災に関する国際研究のための東京会議分科会
(2) 課題別委員会「科学技術を生かした防災・減災政策の国際的展開に関する検討委員会
」を新規に設置することとし、設置要綱を決定するとともに、委員を決定しました。
(3) 1件のシンポジウム等の開催、1件の国内会議の後援を決定しました。
3 その他事項として、今後の幹事会の開催日程について確認が行われました。
4 以下の非公開審議が行われました。
(1) 国際委員会における分科会委員(特任連携会員)(1分科会)を決定しました。
(2) 大学教育の分野別質保証委員会における委員会等委員(特任連携会員)(1委員会、
1分科会)を決定しました。
(3) 科学技術を生かした防災・減災政策の国際的展開に関する検討委員会における委員
(特任連携会員)を決定しました。
(4) 外部委員候補を推薦することを決定しました。


◇◆◇次回の総会日程について◇◆◇――――――――――――――――――――― 

次回以降の総会について、以下日程で開催が予定されております。
  会員の皆様におかれましては、ご参加をどうぞよろしくお願いいたします。

  「第171回総会」 平成28年4月14日(木)~4月16日(土)
  「第172回総会」 平成28年10月6日(木)~10月8日(土)

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