日本学術会議「幹事会だより No.176」について

 

 

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幹 事 会 だ よ り No.176
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                           令和2年3月24日発行
                              日本学術会議会長
                                  山極 壽
 

 今回は2月27日(木)に開催された幹事会で議事要旨が確認されましたことを受け、
1月30日(木)に開催された第286回幹事会の議事概要を御報告いたします。
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今後の幹事会・総会日程
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●幹事会
第288回幹事会 令和2年 3月26日(木) 13:30から
第289回幹事会 令和2年 4月30日(木) 13:30から
第290回幹事会 未定(令和2年 5月14日(木) 13:30からを予定)
第291回幹事会 令和2年 5月28日(木) 13:30から

●総会
第180回総会 令和 2年 4月15日(水)〜17日(金)
第181回総会 令和 2年 7月 9日(木)
第182回総会 令和 2年10月 1日(木)〜 3日(土)
第183回総会 令和 3年 4月21日(水)〜23日(金)

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会長・副会長より
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〔 会長 山極壽一 〕
 新型コロナウイルス感染症への対策・対応でご苦労されていることと存じます。日本学
術会議も去る3月6日に幹事会声明を発出しました。ぜひホームページをご覧いただけれ
ば幸いです。現時点でできる限りの対応をしていく所存です。3月に予定されていた一般
公開のフォーラムやシンポジウムは中止か延期になっていますが、3月30日に日本学術会
議で開催するフォーラム「未来への挑戦—日本学術会議100年へ向けて」は、講演者と討
論者だけで実施することにいたしました。このフォーラムは、この1年をかけて準備して
きた「日本の展望2020」委員会の成果を問う重要な会議になります。また、この未来構想
は『未来からの問い—日本学術会議100年へ向けて』という冊子にして第24期中に完成
予定で、4月の総会で皆さんのお手元にドラフトの形でお届けしようと考えています。
まだ、先の見通しがはっきりしませんが、4月以降に予定されている催しも、変更する
場合は早めにホームページでお知らせすることにいたします。総会を始めとして、数々の
重要な委員会を軒並み中止にすることはできません。ここは科学技術の粋を尽くして、人
を集めることなく通信機器を用いて会議ができないものかと検討を続けております。この
閉塞する時期を好機に変えて、新しい会議の方法を編み出すべく努力を重ねておりますの
で、どうかご期待ください。
 人が多数密着するような機会をなるべく減らすという政府の要請に従い、多くの大学で
卒業式、入学式の中止が決定されました。今後は、新入生に対するガイダンスや健康診断
をどうするか、授業をいつ、どのように開始するか、国際交流をどう進めるか、といった
問題に早急に対処しなければなりません。学生を少人数に分けて授業を行うとか、ネット
上で配信するとか、いろいろな方法が話し合われていますが、感染者が出れば講義ができ
る場所は大幅に減るでしょう。このまま感染症が収まらなければ、単位取得に必要な授業
時間を確保することができなくなります。また、留学生の問題も深刻です。4月から入学
予定の留学生や本国へ帰国している留学生は日本へ渡航するのを控えていますし、感染が
拡大している国からの留学生は入国の際に隔離されることを覚悟せねばなりません。海外
へ留学や研修に置く予定だった国内の学生も取り止めたり延期したりするケースが続出し
ています。国内で開催予定だった学会や会議も次々に中止、延期、開催国の変更となって
います。国内国外の多くの学生や研究者が日本の成り行きを注視しています。
今こそ、日本学術会議の国際的なハブ機能を発揮し、研究者や学生の交流に支障がない
ように、海外の研究者とも協力して早急に対策を考えていかねばなりません。これから数
週間は感染症対策と並行して、いくつかのシナリオを想定した日本学術会議の活動の在り
方を模索する時期だと思います。ぜひ、会員、連携会員のみなさまのご協力をお願いいた
します。

〔 組織運営及び科学者間の連携担当副会長 三成美保 〕
  新型コロナウイルスの感染拡大と社会や経済に与える影響の深刻さがたいへん気になり
ます。学術会議でも3月に予定されていたシンポジウムのほとんどが中止または延期にな
っており、委員会や分科会についても開催中止が相次いでいます。24期最終年度に入って
いますので、各委員会・分科会で活動の総括をするためのシンポジウムが多く企画されて
おりました。まことに残念です。このような状況ですので、みなさまにご協力いただきま
した予算の計画的執行にも大きな影響が出ております。イベント・会議の開催自粛に伴い、
予定されていた予算執行はほとんどストップいたしました。その結果、かなりの予算が余
る見込みとなっております。国家予算管理の性質上、今年度予算を次年度に繰り越すこと
はできず、他の費目に充当することもかないません。これまでのみなさまのご協力に感謝
申し上げるとともに、このたびの件につきましてもなにとぞよろしくご理解のほどお願い
申し上げます。
  さて、毎年3月8日は「国際女性デー」です。アメリカの女性が労働条件改善を求めて
起こした行動を受けて開かれた国際会議(1910年)で創設が提案され、1975年に国連が
定めたものです。日本では関連イベントの自粛が相次ぎましたが、さまざまな方法を駆使
して活動が展開されました。花を手に性暴力撲滅を求める「フラワーデモ」も日本各地で
行われました。
2020年は、さまざまな意味で大きな節目にあたります。1995年の北京宣言および北京
行動綱領(1995年)の採択25周年、女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議1325
号の採択20周年、UN Women(国連女性機関)設立10周年、そしてSDGs5年目にあ
たるからです。なかでも、北京行動綱領は、世界中の女性と女児のエンパワーメントに向
けた最も革新的なロードマップとみなされています。2020年には、制定後4半世紀にわた
る世界のジェンダー平等に向けた取り組みをさまざまな形で評価・総括するため多くの会
議が予定されています
https://www.unwomen.org/en/get-involved/beijing-plus-25/about)。このような取り組
みの意思表明として、2020年国際女性デーのテーマは「平等を目指す全ての世代:女性の
権利を考えよう」とされました。これは、UN Womenの新たなイニシアティブである
「Generation Equality(平等を目指す全ての世代)」と連動したテーマ設定です。今後、SDG
sのジェンダー平等達成にもはずみがつくと予想されます。日本でも取り組みが進むと期
待しています。

〔 政府、社会及び国民等との関係担当副会長 渡辺美代子 〕
  新型コロナウィルスの感染は、私たちの生活や仕事に大きな影響を与えています。日本
学術会議も、多くの公開シンポジウムや委員会と分科会が延期や中止になりました。幹事
会では、1月30日の懇談会からメールでの意見交換も行いながら、学術会議としての対応
を議論し、3月6日には幹事会声明「新型コロナウィルス感染症対策に関するみなさまへ
のお願いと、今後の日本学術会議の対応」を公表しました。また、第二部に「大規模感染
症予防・制圧体制検討分科会」を立ち上げ、感染症の予防などに関して長期的な視点から
検討を開始いただくことになりました。私個人も、3月からの国内外出張が相次いで延期
や中止になっています。突然、思わぬ時間の余裕ができましたが、日常生活での制約が大
きく、心配ばかりが募ります。
 もう1年以上前のことになりますが、2018年12月28日に開催された緊急シンポジウ
ム「アフリカ豚コレラ」では、高井獣医学分科会委員長が「文明の交流は病気の交流」と
説明され、国際化の進展とともに感染症が増えるのは歴史的傾向であり、この種の危機に
いかに対応するかが大きな課題であることを共有しました。今にして思えば、ここでの議
論は今回の新型コロナウィルスにも適応できる内容が多くありました。これから文明の交
流がますます進む中、人への感染、動物への感染、さまざまな感染症が適当な頻度で起こ
ることが予想され、学術会議が今回の感染症を特別な危機と捉えず、増え続ける感染症の
ひとつとして学術の観点から広く深く検討し、その結果を発信することが求められている
のではないでしょうか。
 このような中、感染拡大に配慮しながらも学術会議が多くの活動を中断することなく継
続する工夫が求められているように思います。これを機会に働き方や暮らし方を変えてい
くことも必要でしょう。課題別委員会「オープンサイエンスの深化と推進に関する検討委
員会」は3月2日の委員会を、喜連川委員長が前日に通常の対面会議からWeb会議に切
り替えることを決定し、開催いたしました。私も含め多くの委員がアプリのインストール
から始めましたが、引原副委員長と事務局の協力のもと、委員13名中、参加予定だった
11名全員が参加して対面会議に劣らぬ活発な議論ができました。今にして思えば、今期、
旅費の都合で委員会や分科会の開催を制限してきましたが、Web会議を使えばこの問題の
かなりの部分を解消できたことになります。なぜもっと早く気づかなかったのか自問しま
すが、今回のような危機的状況になって初めて気づくこともあります。今、学術会議が至
急検討すべきことの1つは、ネットワークを活用した会議開催に向けた環境整備になるで
しょう。既に、会長の指示のもと、事務局や情報学関連会員と連携会員が協力して検討を
始めました。この原稿を書いている10日現在、まだその検討を始めた段階ですが、このた
よりが皆さまに届く頃には解決策が見えていることを切に願います。

〔 国際活動担当副会長 武内和彦 〕
 新型コロナウイルスが世界で猛威を振るうなか、皆さんご存知のように、国内外のシン
ポジウムや会議が次々と延期または中止を余儀なくされる事態となっています。そうした
状況で、私自身が直接関与して開催を決断したのが、2月25日(火)に地球環境戦略研究
機関(IGES)の葉山本部で開催されたワークショップです。これは、生物多様性・生態系
に関する政府間科学-政策プラットホーム(IPBES)のシナリオ&モデル・ワーキンググル
ープの専門家グループがその活動の一環として、私自身が研究代表者を務める環境省戦略
的研究開発領域課題(S-15)「社会・生態システムの統合化による自然資本・生態系サービ
スの予測評価」(PANCES)の研究グループと合同で開催したものです。
  IPBESの専門家会合には、当初20名を超える海外からの参加者を予定していましたが、
実際に来日したのは8名のみで、残りの14名はリモートでの参加となりました。ワーク
ショップでの講演をお願いしていた4名の専門家のうち2名は、リモートで講演を行いま
した。幸い、IGESは理事会等へのリモート参加も正式に認めており、また国内外に分散す
るオフィスとの連絡調整を日常的に行っているので、リモート参加でも問題のないように
機器や体制の整備を進めています。今回も会議室のスクリーンに講演者の姿が、またプレ
ゼン時は通常の講演同様にスライドが投影されました。発表は大変充実した内容で、質疑
応答もスムーズに行われ、参加者全員が大満足という結果になりました。
その後、事態はさらに進展し、2月28日(金)に日学の講堂で開催予定であった「持続可
能な社会のための科学と技術に関する国際会議(持続会議)」は、幹事会の了承を得て、第
24期の最終月となる9月まで延期し、新たに持続会議2020として開催することが決定さ
れました。幸い、国際学術会議(ISC)のダヤ・レディ会長、エリサ・ライス副会長、専門
家であるブレーメン大学のマーティン・コリー特別教授の3名の海外からの招聘者には本
年9月の来日について同意をいただきました。2月中に開催できなかったことは大変残念
ですが、持続会議分科会の白波瀬佐和子連携会員を中心に、さらに内容を高められればと
思っています。
 また、3月4日(水)〜6日(金)に京都の総合地球環境学研究所(RIEN)で開催予定
であったフューチャー・アースの会合も、リモートで開催されることになりました。RIEN
での開催を、パリに本部のある国際学術会議(ISC)事務局での開催に変更することが一旦
決まっていましたが、その後の状況変化で、直前になってバーチャルな会議に切り替えら
れたのです。この会議の直前にフューチャー・アースのエイミー・ルアーズ事務局長から
辞任の意向が表明され、波乱の幕開けとなりました。私は、この3日間、いずれも午後8
時から10時半、日学国際室の担当の皆さん陪席のもと、討議に参加しました。GRPとKAN
の関係、5か国にまたがる分散型国際事務局の今後のあり方などが話し合われました。
 このほか、私が参加予定であった国際会議も次々に延期、ないしはバーチャルな会議へ
の変更を余儀なくされています。日学関係では、3月24日(火)〜25日(水)にアメリ
カのワシントンDCで開催予定であった全米科学アカデミー主催によるGサイエンス学
術会議が、バーチャルな会議に変更になりました。若手アカデミーから推薦いただいた専
門家3名に参加いただく予定であったので、フェイス・ツー・フェイスでの突っ込んだ討
議の機会がなくなる今回の変更は大変残念ですが、やむを得ない判断であると受け止めて
います。ここしばらくは、いかにバーチャルな会議を円滑に進められるかが重要になりま
す。その意味でも、日学の通信環境の悪さは、早急に改められるべきでしょう。

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幹事会開催状況(議事要旨、配布資料)はこちら
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/index.html
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以下、第286回幹事会の概要となります。
◎第286回幹事会(令和2年1月30日(木)13:30〜17:00)
審議事項等
1 前回議事要旨の確認が行われた。
2 以下の公開審議が行われた。
(1)「第25期の講演会、シンポジウム等に関する留意点について」の幹事会決定につい
て、承認した。
(2)「日本学術会議協力学術研究団体規程」の一部改正について、引き続き検討を行う
こととなった。
(3)幹事会附置委員会における分科会委員(追加1件)を決定した。
○分科会委員の決定
・危機対応科学情報発信委員会
(4)機能別委員会における分科会委員(追加1件)を決定した。
○分科会委員の決定
・国際委員会
(5)分野別委員会における分科会委員(追加2件)を決定した。
(6)提言「第24期学術の大型研究計画に関するマスタープラン(マスタープラン2020)」
について、科学者委員会研究計画・研究資金検討分科会藤井良一委員長及び武田洋
幸副委員長より説明があり、審議の結果、承認した。
(7)提言「口腔疾患の予防・治療・保健教育の場も喫煙防止・禁煙支援指導などの喫煙
対策の場として活用すべきである」について、健康・生活科学委員会・歯学委員会
合同脱タバコ社会の実現分科会秋葉澄伯委員長及び村上伸也副委員長より説明があ
り、審議の結果、所要の修正を行うことを条件に承認した。
(8)提言「アジア現地留学支援の再開とアジア研究の復興をめざして」について、言語・
文学委員会・哲学委員会・史学委員会・地域研究委員会合同アジア研究・対アジア
関係に関する分科会久保亨委員長及び川島真副委員長より説明があり、審議の結果、
所要の修正を行うことを条件に承認した。
(9)提言「アディクション問題克服に向けた学術活動のあり方に関する提言」ついて、
臨床医学委員会アディクション分科会池田和隆委員長及び神尾陽子副委員長より説
明があり、審議の結果、所要の修正を行うことを条件に承認した。
(10)提言「我が国における教育データの利活用に向けた提言—エビデンスに基づく教
育の推進—」について、心理学・教育学委員会・情報学委員会合同教育データ利活
用分科会緒方広明幹事より説明があり、審議の結果、引き続き検討を行うこととなっ
た。
(11)日本学術会議協力学術研究団体を指定することについて承認した。
(12)令和元年度代表派遣について、実施計画の追加及び派遣者を決定した。
(13)令和元年度フューチャー・アースに関する国際会議等への代表者の派遣について
決定した。
(14)土日祝日に講堂を使用するシンポジウム等につき決定した(1件のシンポジウム)。
(15)12件のシンポジウム等の開催について決定した。
3 その他事項として、今後の幹事会等の開催日程について確認した。
4 以下の非公開審議が行われた。
(1)分野別委員会における小委員会委員(追加1件)を決定した。
(2)国際業務に参画するための特任連携会員の任命について決定した。
(3)外部委員候補者の推薦について承認した。
(4)第2回 日本オープンイノベーション大賞」表彰式について承認した。