役員の紹介



理事長 笹川 千尋
千葉大学真菌医学研究センター長
一般財団法人日本生物科学研究所常務理事

 千葉大学理学部・薬学修士を経て、東京大学院医学系博士課程に入り1978年に学位取得。同年、東大医科研に助手として採用されて以来、1980-83年の米国留学(セントルイス市、ワシントン大学医学部)を除き、2012年の定年まで医科研で細菌病原性の研究を行う。この間、1998-2000年には阪大微研教授を兼任、2006年?2008年日本細菌学会理事長、2011年より日本学術会議会員、IUMS2011では国内プログラム委員を担当した。4月より一般財団法人日本生物科学研究所に勤務する一方、医科研では社会連携講座「細菌感染生物学」を立ち上げ研究を継続中。
 日本微生物学連盟を通じて、これまで築かれてきた各学術団体間の連携と交流をさらに深め、また領域を横断する諸課題の解決に皆様とともに取り組みたい。さらに日本学術会議とも緊密に連携し、微生物に係る国の政策立案に対して適切な助言・提言を行い、我が国の科学・技術の促進に貢献したい。
 本連盟へ加盟する学術団体の会員皆様の活動と本連盟への積極的な参加により、微生物関連領域がさらなる発展をとげることを心より願っています。





副理事長 上田 一郎
北海道大学理事・副学長

 1972年北海道大学農学部農業生物学科卒業後、米国ワシントン州立大学植物病理学部大学院に留学し、1978年Ph.D.を取得。北海道大学農学部助手を経て、北海道大学農学研究院教授。大学院時代から植物ウイルスの研究に携わる。植物ウイルス病の診断とウイルスの分類研究に始まり、ウイルスゲノムの構造、さらに現在は作物のウイルス病抵抗性の分子機構を研究。
 微生物学が社会に大きく貢献していることを、この連盟を通じて広めてゆければと思います。





副理事長 木暮 一啓
東京大学大気海洋研究所教授
日本微生物生態学会会長

 微生物学の発展は人間生活と深く結びついてきました。例えば、感染症の撲滅と発酵食品への利用です。その目覚ましい成果の陰で、環境中の微生物には長い間目が向けられることはありませんでした。しかし、環境問題が顕在化し、撲滅したと思われた 感染症が再興し、生命の起源や有用機能遺伝子の探索に熱い目が注がれる中で、環境中の微生物を理解する意義と必要性とが急速に拡大しています。私はこれまで海洋の微生物の生態について研究をしてきましたが、今後、例えばみなさまが対象としてきた微生物の環境中での振る舞いを解明するお手伝いをすることができます。そうした活動を通じて連盟内の横の繋がりを強め、微生物学自体をより総合的な学問に発展させていくお手伝いが出来ればと考えています。





常務理事 北 潔
東京大学大学院教授
日本寄生虫学会理事

 1974年東京大学薬学部卒業、同修士、博士課程を修了(薬学博士)。1983 年まで東京大学理学部助手、その後1990 年まで順天堂大学医学部助手、講師を経て1991年より東京大学医科学研究所助教授。1998 年3 月より現職。基礎研究を通して人類の向上と福祉を目指している。代謝調節と生体膜の生化学および分子生物学などの純粋な基礎生物学的研究とともに、寄生虫感染症を中心とした国際的な医療問題に対する研究室外の活動をアジア、アフリカ、南米で進めている。
 感染症に関わる諸問題の解決には微生物学の基礎から応用まで深く幅広い研究が必須であり、日本微生物学連盟の果たす役割は極めて重要と考えている。





常務理事 柘植 尚志
名古屋大学大学院教授

 私の専門は植物病理学です。植物の感染性病害の80%は糸状菌(真菌)が原因です。これまで、植物病原糸状菌の宿主選択的な植物感染、寄生性進化、胞子形成などの分子機構について研究を行ってきました。この度、日本微生物学連盟の常務理事という大役を拝命することになりました。何分にも同連盟での活動ははじめてですので、一つ一つ勉強しながら、少しでも我国の微生物学関連分野の発展にお役に立てるように努力したいと考えております。ご指導よろしくお願い申し上げます。





常務理事 原島 俊
大阪大学大学院教授
日本生物工学会会長

 大阪大学・工学研究科で、微生物遺伝学・分子遺伝学を主軸に、「酵母のバイオサイエンス、バイオテクノジー」を専門として教育・研究を行っています。工学のエッセンスは自然界に無い、あるいは、(少々不遜ですが)自然を凌駕する人工物や人工システムの創造です。従って、研究の最終的な目標は、有用物質を最大の収率で生産できる自然界には無い、ベストゲノムを持つ微生物(酵母)の育種です。そのことを通して、「産業バイオテクノロジー」のフロンティアを切り拓いていくことができればと思っています。日本微生物学連盟は、医学、薬学、理学、工学、農学等々多様な分野で微生物学を専攻する方々が集まっていますが、工学分野における微生物学の観点から、連盟の発展に微力ながら貢献できればと思っています。





常務理事 柳 雄介
九州大学大学院教授
日本ウイルス学会理事長

 1980年九州大学医学部卒業。トロント大学、スクリプス研究所、東京大学を経て、1995年九州大学医学部教授。現在、九州大学大学院医学研究院ウイルス学教授。2010年より日本ウイルス学会理事長。2008年よりIUMS, VirologyDivision, Advisory Council Member。麻疹ウイルスを主な対象として、ウイル スの細胞侵入機構、自然免疫系との相互作用、病原性発現機構などを研究している。「ウイルスとは何か」を理解することが目標である。連盟の活動を通じて、微生物学の発展に努めたい。





常務理事 横田 篤
北海道大学大学院教授
日本乳酸菌学会会長

 1979年北海道大学農学部農芸化学科卒業。84年同大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士取得。84年味の素株式会社中央研究所勤務。89年北海道大学農学部助手に採用。96年?97年オランダ国フローニンゲン大学へ乳酸菌研究のため留学。2000年北海道大学大学院農学研究科教授、組織変更により2006年から現職。2011年から日本乳酸菌学会会長を務める。専門は微生物生理学。主な研究内容は腸内細菌学と有用物質発酵生産の基盤解析。とりわけ腸内細菌学の研究分野は健康との関連において世界的に急激に進展し、世間一般の関心も高い。また、微生物学と医学、免疫学、栄養学、食品学など異分野の融合領域となっている。このような中で本連盟の活動を強化し、また、国内外にアピールできればと考えます。





監事 西川 朱實
明治薬科大学教授
日本医真菌学会理事

 日本医真菌学会を代表して本連盟に参加しています。本学会は、病原真菌と真菌症を研究する基礎および臨床研究者で構成されています。医学が目覚ましい発展をとげる一方で、日和見真菌感染症患者の数も増加しています。また、真菌に起因する各種アレルギー疾患も深刻です。この様な背景から医真菌学研究の重要性は増しています。私の専門は免疫生物学で、アトピー性皮膚炎の増悪メカニズムをヒト皮膚常在真菌との関連性から研究しています。
 本連盟の横断的な活動を通して、我が国の微生物学発展のために微力ながら努力する所存です。どうぞ宜しくお願い致します。





監事 野田 公俊
千葉大学大学院教授

 監事を仰せつかりました野田公俊です。宜しくお願いいたします。主な所属学会は日本細菌学会です。コレラ菌やO157などの病原性大腸菌が産生するトキシンの作用メカニズムの解明とその毒性制御の方法を研究しております。また、全国の小学生から高校生を対象とした無料の出張講演「ミクロの世界からのメッセージ」を実施しています。子どもたちに、新しい世界に接してもらいたい、early exposureの場を提供したいという思いから、2004年に開始し、現在、全国の250校以上で実施し、受講生は約60,000人をこえています。当連盟では監事として、笹川理事長の諸活動に少しでもお役に立ちたいと考えています。





監事 平山 壽哉
長崎大学熱帯医学研究所教授

 細菌が病原性を発揮するために分泌し細胞や組織などに送り込んで障害を与える物質が細菌毒素である。加えて鞭毛や繊毛が形を変えて分泌装置となり細菌の産物を宿主内に直接注入する装置も見出されている。注入される細菌の産物はエヘクター分子と呼ばれ、毒素とは区別される。細菌の運動装置である鞭毛がToll like 受容体を刺激し、自然免疫を惹起することが知られている今日では、改めて細菌の持つ個々の構成分子がどのような複合的な働きを感染の場で示すのかを問い直す時期でもあり、ピロリ菌の病原メカニズムの詳細を究明している。しかし、有効な感染症の治療や予防戦略の立案にはマクロ的な感染症の広がりを他分野と共に理解することも重要であり、関連分野の間のパイプ役を努めていきたい。